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2008年5月28日 (水)

50夜ブック・レビュー 『姓氏家系大事典』 コンパクト 丹羽 基二著版

姓氏家系大事典―コンパクト版
丹羽 基二著


一種の「エッセイ集」か!

「事典(ことてん)」というくくりであれば何が書かれていても免罪符になるとはいうものの、
これで「大事典」というのは羊頭狗肉ではないだろうか。
文体もばらばらで(論文調もあれば談話調もある)、視点もまちまちで、はっきり言って資料価値には疑問符を付けざるを得ない。
「姓氏」についても「家系」についても、多くが一種の「エッセイ」になっていて、客観性や信憑性は二の次のようだ。
結果として、別の資料で再確認しなければならない事柄が頻繁に出現するのには、いささか困った。
ただ「読み物」として面白い項目もあるので、副読本の一つとしては良いかもしれない。
出典のわからない逸話がしばしば登場するが。
──というわけで、斯界の先達に敬意を表しつつも、残念な評価となった。 

姓氏家系大事典―コンパクト版

著者:丹羽 基二

姓氏家系大事典―コンパクト版

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2008年5月25日 (日)

49夜ブック・レビュー 『図説子どもに伝えたい日本人のしきたり』 三橋 健 著

図説子どもに伝えたい日本人のしきたり
三橋 健著

   
大人のためには再確認の意義ある書

本書は、子どもに教える教材になるとともに、大人もあらためて認識することが少なくない。
「大人のための確認の書」として格好かも。
著者が神道学の第一人者であるところから、とくに神道儀礼について明確かつ平明な教示があるのはすばらしい。
私たちが普通に暮らしの中で馴染んでいるしきたりが、
あれもこれも神道に由来するものだと知って、新鮮な驚きがある。
新たな教育指針にふさわしい書が誕生した。

図説子どもに伝えたい日本人のしきたり

著者:三橋 健

図説子どもに伝えたい日本人のしきたり

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2008年5月20日 (火)

48夜ブック・レビュー『図説あらすじで読む日本の神様 』 三橋 健

図説あらすじで読む日本の神様

「八百万の神々」へのガイドブック決定版

日本の神様を総称して「八百万(やおよろず)の神々」というが、実際に「八百万(はっぴゃくまん)」もの数でないことはもちろんで、それは「多数」という意味である。
古典中の古典『古事記』に登場する神様で321柱!(知ってましたか?)
──こういう基本的な疑問に、すべて平明に答えてくれるのが本書の特徴だ。
説明用の図解や写真も豊富だが、最大の特徴はそれぞれの神様の紹介にあたって、その姿の画像か彫像を必ず見せてくれるところだろう。
神話のクライマックス・シーンや、神様の霊験をあらわすスタイルなど、いずれもなかなか興味深い。
そのおかげで、ある種の親しみが湧くことはもちろんだが、神様の事績を理解認識するのにたいへん役に立つ。
漠然と観念的にしか認識していなかった「日本の神様」が、
本書を一読した後は、それぞれの個性が具体的に際立って、強く印象に残るのだ。
望むべくは、本書は「主な神様」に限定しているので、ぜひ続編にも期待したいところだろう。
最近、このテーマの類書が続々と刊行されているが、これこそ「決定版」と思われる。 

図説あらすじで読む日本の神様

図説あらすじで読む日本の神様

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2008年5月16日 (金)

 『神と自然の景観論 信仰環境を読む』

柳田国男・宮本常一につづく民俗学者に注目

 日本人の信仰の原型は古神道にあって、それが自然信仰であることは自明のことだが、それではその“自然”なるものの何に対して日本人は聖性や神性を感じたのかといえば、それを徹底して研究したものはこれまでなかった。
 それを民俗学的にアプローチする試み自体はとくに珍しいものではない。しかし丹念に自ら歩いて体感し、緻密なフィールドワークとして探求したのは(しつづけているのは)野本寛一に尽きるだろう。
 本書のスタンスは、神と自然と日本人との間に何も挟まないことである。もし何かがあれば、それを跳び越えてダイレクトにシンプルにその関係性に迫る。すなわち、神社の社殿建築等々に一切目をくれないということである。社殿や神像を拝むのではなく、日本人は山や樹木や岩や島などといったまさに「自然」を拝んできた。
 ただ、どこにでもある自然ではなく、そこには“条件”が整っていなければならない。それが、特別な“環境”“景観”なのである。
 それが何故特別なのか知るためには、そこに行って、いにしえの日本人と同様に体感しなければならない。いわば本書はその「体験レポート」なのである。「信仰環境を読む」という副題は、まさに“足”で読んだものであって、この視点に限定したフィールドワークとしては比肩し得るものはないだろう。レビストロースの方法論でもなく、折口信夫の方法論でもない、野本独自の方法論が本書からは見えてくる。
 100点以上に上る豊富な写真も貴重である。

神と自然の景観論 信仰環境を読む (講談社学術文庫)

著者:野本 寛一

神と自然の景観論 信仰環境を読む (講談社学術文庫)

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2008年5月15日 (木)

46夜ブック・レビュー 『信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う 』

信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う (新書)
鈴木 眞哉著

痛快な論破!
                  

「信頼できる資料」というものがいかに少ないか、本書を読むとよくわかる。
「小説」も「映像」も、ずいぶん勝手に話を作り上げているものだ。
それでも、それらが“フィクション”と銘打っている限りはしかたがない。
まったく架空の、それこそSF伝奇物語とするならば、
これは事実にも勝るおもしろさがあるわけで、これはこれで存在理由がある。
しかし「論考」ともなれば、そうは行かない。
本書で指摘されていることに、他の多くの「論考」は反論しなければならないだろう。
なにしろ、他の「本能寺論」──とくに謀略論──をことごとく論破しているのだから。
著者の明快な論理に対して、さあどう答えるのか!
それとも、尻尾を巻いて逃げてしまうのかな?

──個人的には「決定版」とも言うべき書で、他の関連書は読まなくともOK!
私はもうずいぶんたくさん関連書を読んでしまったが、
本書以後の人は時間を無駄にしなくて済むのがうらやましい。 

信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う (新書y)

著者:鈴木 眞哉,藤本 正行

信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う (新書y)

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2008年5月14日 (水)

45夜ブック・レビューt 『カシミール3D入門―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ』

カシミール3D入門―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ
杉本 智彦著

夢に見た飛行体験を!

大人になったらいつの間にか見なくなってしまった「空を飛ぶ夢」。
身体一つで町の上も山の上も海の上も飛んでいたあの疑似体験が「カシミール」で味わえるようになったのは感動だ!
古代や中世の都市を立体的に見るという未体験ゾーンも魅力的。

さらに精密でリアルに進化することを期待しています。 

カシミール3D入門―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ

著者:杉本 智彦

カシミール3D入門―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ

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2008年5月13日 (火)

16夜ショート・ショート 「海底に謎の街並み」

海底に謎の街並み

海の中に街並みがあるという。

場末の居酒屋で、そんな話を小耳にはさんだ。

隣の酔っぱらいが亭主に向かって喚いていたのだ。

ここは記者仲間ばかりが集まる店とは違って、ごく普通のカタギ衆がくつろいで呑む店だ。

「――ほんとだってばさ。海ん中に、街があんのよ、街が。オレ、見たの。はっきし。浦安沖で蛸釣っててね」

ダムに水没した村を船底のガラス窓から見物したという話なら珍しくない。

しかし場所が東京湾で、見えたのが街並みということになると、これはとてつもない話になる。

いつもなら酔っぱらいのヨタ話など聞き流すのだが、この話にはフックするものがあった。ブンヤのカンだ。

「――冗談だったらもっと気の効いたことを言うって!」

「あんた、しつこいねえ」

「ほんとなんだってばさあ」

私は、少なくともこれを信じた。

というのも、近頃東京湾ではヘドロの浚渫が猛烈な勢いでおこなわれている。

それにともなって、

「ようやく政府も環境問題に本腰」

といった新聞報道も日常的に出るようになった。

むろん私の仲間達がこの“好意的”報道の片棒を担いでいる。

しかし私自身は、当初からこの現象をストレートには受け止めていない。

なにか裏がある。きっと、ある。

そう簡単に日本国政府の体質が変わるはずはないのだ。

翌日、さっそく私は東京湾周辺の釣り船屋の聞き込みをおこなった。

客は一過性だが、各船長は毎日のことだ。

事実ならば、これ以上の証人はない。

そして噂は、やはりかなりの信憑性を持っていた。

無作為に三人のヒアリングをおこなっただけなのだが、答えは異口同音。

三件目のオヤジはこう言った。

「不気味だよね。でも何度も見てるよ。雨が降らなければいつでも見れるね、最近は」

二ヶ月程前までは妙に海が濁っていて海底はほとんど見えなかったらしく、さながら忽然と出現したような感じだという。

しかも、その界隈は特にヘドロ浚渫の船が多いらしい。

「見てみるかい。明日はなんでか出船禁止なんて漁協から通達があったけど、つもりがあるなら乗ったらいいよ」

もちろん私は二つ返事で承諾した。客は私一人である。

翌朝船で現場に向かう途次、すでに私の頭の中には記事の構想が出来上がっていた。

「東京湾に沈む幻の古代都市発見さる!」

朝刊の一面に踊るスクープの活字が眼に浮かぶ。

そう、私の結論はこれなのだ。

東京湾の底から古代の幻の年が出現したのではないかと、私は密かに推定している。だとしたら、これはとてつもないビッグ・ニュースだ。

海は、いつもその底に失われた謎を秘めている。

アトランティスもムーも、お馴染みの謎である。

「海底にアトランティスの古代都市を見た」という記事も、過去の新聞をめくるとときたま目にする。

もっともいまだに発見されてはいないようだが。

それならば、東京湾の底にも古代都市があっっていい。

三年前に魚網に古代の遺物がかかったことがある。

これまでの考古学が覆されるかもしれないくらい古いものだとはその時点で報道されたが、それ以上何も明らかにならないまま、いつのまにかニュースから消えてしまった。

ヘドロの浚渫が頻繁におこなわれるようになったのも、その後しばらく経ってからだ。

私はそれ以後個人的に調べてきたが、東京湾浚渫のための予算は膨大である。

これまでの慣例から考えると、異常と言ってもいい数字だ。

これらの事実を一連のものとして考えない手はないだろう。

「――だんな、そろそろ現場だよ。海ん中覗いてみたら」

私は思わず船縁に走り寄って水中眼鏡の親分のようなガラス箱で海中に目を凝らした。

「落ちるなよ!」

船長がどなる。

見える!

なるほど、確かに街並みらしきものが海底に延々と続いている。

しかも廃墟ではなく、どうも、屋根まであるようだ。

しかし――。

「ん~む、やけにやすっぽいなあ。これじゃまるで建て売りの一戸建てじゃないか。なんだか、変だぞ、これは」

海底に延々と続く建物は、いずれも二階建てで、しかもほとんどくっつき合っているというあのたたずまいそのままなのだ。

おまけに屋根は、なんと赤のスレート葺きに見える。

想像とぜんぜん違うではないか!

私は頭がこんがらがって、気分が悪くなった。

理解不能なものに対面した時特有の吐き気がする。

その時、一種異様な海鳴りがして、その瞬間海底が動いたような気がした。

水面がゆがんだのかと思った。

しかしガラス箱越しに見ているのだからそんなはずはない。

私はもう一度目を凝らしたが、今度は近づいているように見える。

いや、ずんずん近付いている。間違いない。

海底が上がってきているのだ、不可思議な街並みごと!

――と思う間もなく、強い衝撃が船全体を襲って、私たちの船は一気に空中へ持ち上げられた。

滝壺にでもいるかのような水音のすさまじい喧噪の中で、船長の叫び声がかすかに聞こえた。

船の下で“家”が一軒メリメリと潰れた。

そして私たちの周囲には、同じ形の建て売り住宅がいくつもいくつもずらりと並んだ。

私は事態を把握するのにまず自分の頭が正常であるかどうか検証しなければならなかった。――どこからかやってきた制服の集団に取り囲まれたのはその直後である。

翌日から、東京湾建て売り住宅の公募は、大々的に始まった。

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2008年5月12日 (月)

44夜ブック・レビュー 『百日紅 (下) 』(ちくま文庫) 杉浦 日向子著

百日紅 (下) (ちくま文庫)


杉浦 日向子著

座右の書として生涯親しんでほしい
                  

上巻のつづき──
おそるべき描写力であることは本書にとどまらないが、なおかつ長編としての構成力も見せてくれたのはこれが最初で(残念ながら)最後である。もっと多くのテーマが待っていたのに、実に惜しい。生前すでに「漫画」系については“断筆”する旨の表明があったのは、やはり病のためなのか。
本書は、日本人すべての、しかも「大人のための」座右の書として親しんでほしい。十年ごとに読み返すと、また新しいものが見えてくるはずで、青年も、そしてもちろん老年になっても何度でも楽しめること請け合いだ。 

百日紅 (下) (ちくま文庫)

著者:杉浦 日向子

百日紅 (下) (ちくま文庫)

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2008年5月11日 (日)

15夜ショート・ショート「エスカレーターの秘密」

エスカレーターの秘密

 少年は、エスカレーターというものをいつも不思議に思っていた。階段が次から次に現われて、そして次から次に消えていくなんて、いったいどういうことなんだろうと。
 考えあぐねた末にたどり着いたのは、床の下に階段をアッという間に作る機械があって、その先には壊す機械がある。しかも、壊した材料はすばやく、作る機械に送られて、それを繰り返す。──そういうシステムであった。
 ところがある日学校帰りに、たまたま地下鉄新お茶ノ水駅でエスカレーターの修理に出合った。そこで少年は、さっそくのぞきこんだのだが、中にはモーターがあるだけで、階段は折りたたみ式になっている。
「なあんだ、折りたたみ式かぁ」
 少年は思わず大きな声でつぶやいた。すると、修理をしていた人が振り返って、
「ホントは違うんだよ。きっとキミも考えたように、階段を作っては壊し、作っては壊ししてるのさ。でもそのことはナイショにしなくちゃいけないんだ」
「へ~え、でも、もしそうだったら、おじさんは今なにしてるの。折りたたみの修理に見えるけど」
「こうしてときどき“折りたたみ式”だってことを見せたりしないとバレちゃうだろ。だからさ」
 ──少年は一生懸命考えた。
「でも、作ったり壊したりしていることがバレちゃうと、どうしていけないの」
 すると修理士は、少し考えるような顔をしてから少年に顔を寄せてソッとささやいた。
「さっきおじさんは“キミが考えているとおりだ”って言ったけど、ホントは違うこともあるんだ。キミにだけ教えてあげるけど、実はね、床の下で階段を作ったり壊したりしているのは“機械”なんかじゃないんだ。“人間”なんだよ。人間が、1つの階段を作ったり壊したり永遠に繰り返しているのさ」
 床下で階段を作っているのは機械でなく人間だと言う。本当にそんなことがあるのだろうか。
「あるんだよ」
 その修理士はまるで少年の考えを見抜いたかのようにそう言った。
「といっても、もちろん素手じゃつくれないからね。道具は使ってるさ」
 おおぜいの人間がものすごいスピードで次から次に壊して、壊したと思ったら、また作る。その作業を延々と続けているという。考えるだけでもシンドイことだ。
「それじゃあ、この下にいる人たちのおかげで、ボクたちはエスカレーターに毎日乗れるんだね。感謝しなくちゃ」
「感謝なんかすることはないんだよ。だって、考えてごらん。折りたたみ式にすれば、なにもいちいち作ったり壊したりする必要はないんだからね」
「それじゃ、どうしてそんなことをするの?」
「“罰”さ」
「バツ?」
「そう。地上で悪いことをした罰として、永遠に完成しない仕事をさせられるんだ。ツラいぞぅ」。
 ニタッと笑った顔を見ると、犬歯がずいぶんトガッて見えた。それを見ると、少年はなぜか背筋に寒気を感じた。
「オイ、子ども相手になにやってるんだ! そろそろ片付けないと時間だぞ」
 もうひとりの修理士が声をかけた。すると、少年の相手をしていた修理士は、
「さあ、もうお帰り。冗談はこれでオシマイ。──今、おじさんの言ったことは、ぜ~んぶウソ。階段は見たとおり、折りたたみ式さ」
 なんのことはない、少年はからかわれていただけなのだ。
「さあ帰った帰った、仕事のジャマだよ」 そう言ってクルリと背中を向けた修理士のむこうに、もうひとりの修理士が帽子を取って額の汗をぬぐうのが見えた。少年がなんの気なしにそちらに目をやると、その頭には小さな突起物が2つ。それは、まるで“角(つの)”みたいな──。

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43夜ブック・レビュー 『百日紅(上)』 杉浦日向子

百日紅 (上) (ちくま文庫)

杉浦 日向子著

日本の文学史漫画史文化史に残る名作
                  



ジャンルを問わず「北斎もの」は数多いが、この作品は別格で、
これを読んだら誰もが北斎に惚れ直して、
たぶんかなりの確率で同じ様な生き方をしてみたくなるのではないだろうか。
江戸の暮らしも、貧乏も、あるいは人間のしがらみも、これはこれで悪くないと思わせるのは、
やっぱり杉浦さんの人柄が独特の筆致やさりげない話し向きに出ているからなのだろう。

これほどの才能が失われてしまったのは、返す返すも残念でならないが、
どうぞみなさん、ありったけの杉浦日向子作品を耽読して、彼女の世界にどっぷりと浸かってください。
昼間の蕎麦屋で燗酒をちびりとやりながら、ふんわりと味わってください。美味ですよ。
こんな「幸福感」は、ちょっと他では得られません。

百日紅 (上) (ちくま文庫)

著者:杉浦 日向子

百日紅 (上) (ちくま文庫)

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2008年5月 9日 (金)

14夜ショート・ショート 「銀座のカラス」

銀座のカラス

「近頃やけにカラスが多いなあ」
 銀座電通通りを歩きながら、一組のカップルが話していた。
「ほんと、気味が悪いわね」
「あっ、危ない!」
 その時すばやく一羽のカラスが滑空して、二人のすぐ前を歩いていた親子連れに狙いをつけたところであった。カラスは、子どもがかぶっていたアポロ・キャップのツバを跳ね上げて、またすばやく舞い上がる。──そして火が着いたような子どもの泣き声。
「──まるで、ヒッチコックの『鳥』ね。カラスが人間を襲うなんて信じられない」
「アポロ・キャップが珍しかったんだろう。好奇心の強い鳥だからね、カラスは」
 銀座にカラスが異常繁殖しているという噂は、だいぶ広まっている。実際には「繁殖」ではなく、北の丸公園小石川植物園辺りからエサをあさりに飛んで来るらしいのだが、いずれにしても「銀座」という風景にはおよそ似つかわしくない鳥である。
かつて「六本木ネズミ」というのが話題になって、これは「猫」ぐらいの大きさがあると言われたが、考えようによっては、それだけ六本木の台所は豊かだという証明だ。
 しかし、カラスはいけない。カラスはやはり、「死肉に群がる」というイメージがどうしても付きまとう。
「銀座は日本じゃないみたいね」
 カップルの女が言った。
「まったくね」男が答えた。「海外ブランドのビルばかり次々に出来て、これじゃ、まるで植民地だね」
「ふーん。カラスとなにか関係あるのかしら」
「なんで?」
「カラスは死臭をかぎつけるって言うじゃない。日本人の死臭」
「そういえば、ブランド・ショップに群がる女達はゾンビみたいだな。きみがブランド好きでなくてよかったよ」
「わたしはゾンビにはなりたく──」
 女が途中で言葉を切ったので、男は思わず女の顔を振り返った。すると、女は目を大きく見開いて、一点を見つめていた。
「あ、ああ、あれ、あれあれ、あれ、なんなのいったい。あれ!」
 女の指差す方を見ると、なんと猫よりもひとまわり大きいネズミがポリバケツのゴミをあさっているところであった。
「六本木ネズミだ! いや、こいつはもっとでかいぞ」
「こわいっ!」
 寄り添う女を抱える腕に思わず力がこもるのを、男は制御できなかった。掌は汗ばんでいるのに、背筋には寒気が走る。
「銀座のゴミの方が栄養価が高いってことなんだろうな」
 なぐさめるつもりで男はつぶやいたが、自分で自分の言葉に不吉な予感を抱いた。
 巨大なネズミに気付いたのはこの二人ばかりではなくで、あちこちで次々に悲鳴が上がっている。その悲鳴につられるかのように、走り回るネズミの数もどんどん増える。ビルの隙間や植え込みの陰から、まるで手品のように続々とわき出てくる。
「これは、なにか特別のエサを食べたんじゃないか」
「特別って?」
「わからない──」
 その時、
「クワァー!」
 という耳をつん裂くような不吉な鳴き声が辺りに響き渡って、思わず空を見上げた。すると、なんと、まるで怪鳥ラドンと見まがうような大カラスが、ソニービルの屋上から羽を広げて見下ろしていた。
「そういえば、カラスもネズミも悪食で有名なんだっけ」
 男はボンヤリと考えた。

〈了〉

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42夜ブック・レビュー 『坂本竜馬』黒鉄 ヒロシ著 (PHP文庫)

坂本竜馬 (PHP文庫)
黒鉄 ヒロシ著 価格: ¥ 880

小説では決して味わえない「絵」の力がすごい
                  
すでに龍馬についての一般的な知識を持っている人におすすめ。
やまほど出回っている龍馬本とは次元が違います。
著者の龍馬への迫り方は半端ではない。
たった一枚の絵に盛り込まれた情報の豊富さには驚きを禁じ得ないし、
同じ土佐の人としての偏愛ぶりが随所に見られて、これが独特の味わいを出している。
小説では決して味わえない「絵」の力を感じさせますね。
死者の首に真相を語らせたり、死者が甦って歴史の真相を証言したりという手法は、
なんとも妙なリアリティを感じさせる。
黒鉄氏の実力・底力を思い知らされる作品だ。 

坂本竜馬 (PHP文庫)

著者:黒鉄 ヒロシ

坂本竜馬 (PHP文庫)

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2008年5月 7日 (水)

13夜ショート・ショート 「E-mailでこんにちは!」

E-mailでこんにちは!

at:2008.1.1 10:00 AM----こんなメールが届いていた。

「きみは明治神宮を出てから山手線で日暮里へ行った。着時間は午前1時頃。行き付けの居酒屋へ行き、顔馴染みの連中と“初呑み”。2軒ハシゴをして、帰宅したのは11:00 AM。それが今。そしてきみはこのメールを見ている。よせばいいのに、冷蔵庫からエビスの缶ビールを出して、蛇足の一杯をやりながら。」
From: toya manabu, toya_manabu*@yahoo.co.jp
To: toya manabu, toya_manabu@yahoo.co.jp

 ──私宛に“私から”のメールである。
 ただ、fromのメルアドにはネームの肩に「*」が余計なだけ。
 ふざけた奴だ。おおかた先刻まで一緒に呑んでいた連中の中の誰かだろう。いつの間にかそっくりのアドレスを取得していたというわけか。
 でも、何のために。

at:2008.1.1 11:20 AM----私からのre-mail

「凝った年賀メールをありがとう。たいていのことでは動じない私も少しばかり感心。エビス・ビールの件は“いいカン”してるね。大当たり! なかなか面白い趣向。しかしさすがに眠いので、今度は眠気も吹っ飛ぶような“カン”を、よろしく!」

 ──泥のように眠り込んだ私がようやく目覚めて、ふたたびメール・チェックしたのは夜8時のことであった。

at:2008.1.1 8:00 PM----「*」からのre-mail

「きみの目覚めは6:00 PM。新年早々顔も洗わず、空腹に耐えかねてカップヌードルを食べる。ひどい“おせち”だ。年越しの食パンをトーストしたのはいいが、バターが切れていたのが、なお裏寂しい。コンビニで煙草とエビアンを買ったのはいいが、ついでに缶詰ばかり山ほど買ったのは感心しない。もうこんなライフスタイルは限界だとわかっているのに。」

at:2008.1.1 8:15 PM----私からのre-mail

「おまえは、誰だ。なぜ、そんなことを知っている!」

at:2008.1.1 8:35 PM----「*」からのre-mail

「私は、きみだ。時間がないので、きみが信じるためにさらに荒療治をする。──昨夜帰宅の前に立ち寄った女とはできなかった。しかし自分のベッドにもぐり込んだら可能になった。思い出しながらきみは2度発散した。ひどく眠いのに。」

at:2008.1.1 8:45 PM----私からのre-mail

「おまえは誰だ。」

at:2008.1.1 8:50 PM----「*」からのre-mail

「私は、きみだ。きみの、20年後だ。インターネットは人の手を離れ、自らの“意思”で成長・増殖をし続け、もはや誰にもその全貌が分からなくなったのは2010年のことだ。そしてある時、私は発見した。URLを自動入力で10000乗すると、過去にアクセスできる。
 きみは今から羽田へ行って大阪へ向かうことになる。まもなく携帯電話にかかってくる緊急の仕事で、だ。今後10年を左右するすばらしい仕事の、ビッグ・チャンスだ。しかも、依頼者はきみを特に引き立ててくれている、あの広告代理店D社の局長、直々の話だ。ことわるわけにも行かないし、ことわるような理由もない。
しかし、きみは中止すべきだ。取り返しのつかない事故に会うからだ。
 その事故の結果、私は肉体のほとんどを失った。私に今あるのは“脳”だけだ。
 そのため私は、E-mailだけでコミュニケーションするしかない状態になった。視覚も聴覚も、ない。脳に直接接続された回線から、こうしてアクセスしているばかりだ。
 ただし、その代償として、莫大な補償を受けている。これまでのきみの稼いできた金額すべての百倍はあるだろう。
 それでも私は、もとの五体満足な肉体が欲しい!
 たとえこの業界で干されても、肉体には代え難い!
 行くなよ。絶対に、行くなよ。」

 ──いま、PCの脇に置いてある携帯電話が鳴っている。液晶に局長の名前が表示されている。私はこのメールを信じるべきか、それとも──。

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2008年5月 6日 (火)

41夜ブック・レビュー 『日本風水』 木戸出版

日本風水目次

木■ 五芒星
 ・螺旋の真理
 ・五芒星が示す黄金分割
 ・ピタゴラス音階
 ・晴明桔梗
 ・新たな龍脈
 ・丸の内・三菱村の風水戦略
火■四神相応
 ・四神相応は最強風水の証し
 ・四神とは何か
 ・京都・平安京の風水
 ・神奈備・神籬・磐座・靈
 ・江戸・東京の四神相応
 ・鹿島の神
土■天文密奏
 ・尋龍点穴で「地の相」を観る──プレート・テクトニクス
 ・龍脈と龍穴──聖地を知る能力、聖地を見出す技術
 ・神社風水──富士山本宮浅間神社/龍穴に鎮座する古社
 ・デジタル風水──最新の技術で尋龍点穴
 ・北辰信仰──北緯34度32分「太陽の道」は風水の道
 ・晴明の密奏「天の相」を観る──予知による君臨
 ・3D天体ソフトで日蝕・天変地異の予知
金■鬼門
 ・宇宙の変化を読み解く日本風水
 ・天・地・人は一連の脈動
 ・日本独自の「鬼門風水」 
 ・「桃太郎」の原理 
 ・鬼門崇拝
 ・陰陽五行
 ・「えと」はヤマト言葉──大相撲、剣道、茶道、華道の風水哲学
 ・風水食の原理──五行五色のバランスが健康
水■天円地方
 ・古代道教の宇宙観
 ・前方後円墳(上円下方墳)と践祚大嘗祭
 ・良渚文明の祭器と三種の神器──風水トライアングル
 ・天武天皇──陰陽寮の創始/三種の神器、伊勢の遷宮を創始/「倭」から「日本」へ

日本風水

著者:戸矢 学  発行:木戸出版

日本風水

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2008年5月 5日 (月)

12夜ショート・ショート「花の浅草、下町観光」

花の浅草、下町観光

 はぁ、まんず、これが浅草だっぺ。
 ほれ、みてみろや、カアチャン。
 よおくまあ、こんなにいっぺえ人が集まるもんだべや。
 今どっからか湧いてきたと思ったら、もう次が湧いてるでよう。
 まさか、おんなし連中がおんなしとこグルグル回ってるわけではねえだろうけっども、はぁ、それにすたってえれえもんだ。
 こらぁ、毎日毎日がお祭りだぁね。
 なに? キョロキョロすんなて?
 アホこくでねえ。
 おらたちゃ見物に来てるんでねえか。
 キョロキョロしねえで、なにをするだ。
 こっただ珍しい見せ物、なかなかお目にかかれるもんでねえぞ。
 しっかり目え開いて、よーく見るだ。
 なんも恥ずかしいことなんかねえだぞ。
 恥ずかしいのは、むこうだべが、ん。
 ほーれ、このカンザシ、おめに似合うんでねえだか。
 今どき、クサツの温泉場にだって、こんな毒々しい土産ものは珍しいだ。
 これこそ浅草っちゅうもんだべや。
 記念におめにひとつ買ってやるべ。
 --なに? 腹巻きからゼニ出すな?
 いちいちウルセエっぺ。
 この腹巻きがナウいんでねえか。
 トラさんとソックリにわざわざあつらえただぞ、この日のために。
 せっかく浅草へ来るっちゅうに、まーさかカルチェの財布じゃなんめえよ。
 TPOちゅうのも考えにゃなんね。
 まして、アメリカン・エキスプレスなんか間違っても出すでねえだぞ。
 それこそ笑いもんになるだ。
 女ちゅうのは、どうもその辺がわがらねえがら困るだ。
 考えてもみろや。浅草ちゅうたら東京の中の東京だべ。
 それがなんでこんなふうにしてっか、おめにわがっか?
 雷門のチョウチンがいくらでかくたって、そんなもん今どき誰がうれしがるかよ。
 人形焼きだの雷オコシだの芋ヨウカンだの、そっただものジイチャンだってバアチャンだって欲しがりゃしねって。
 実際たいしてウメえもんじゃねえしな。
 それぐれえならミスター・ドーナッツのほうがよっぽどマシだっぺ。
 もっとウメえもん毎日食ってるでねえが。
 このカンザシだって見てみろ。セルロイドと色紙でできてるだ。
 それだけじゃねえだぞ。
 あの有名なロック座や演芸ホール、木馬館や花やしきを見てみろや。
 あのウラブレた雰囲気! 
 あれが演出でなくて、なんだっていうだ!
 ようするに、あれだ。
 日光江戸村に行ったっぺ。
 あれとおんなしだな。
 なに? おらがストリップを楽しそうに見てた?
 そらぁ、おめ、礼儀っつうもんだべ。
 いかにもつまんなそうに見てたんじゃ、踊り子がかわいそうってもんだ。
 だいいち、おら、今さらストリップなんぞ見なくたって、裏ビデオ──いや、その、まぁいろんな楽しみがあるだ!
 よーするに、浅草ってとこは「うらぶれゴッコ」をするとこだべ。
 それも昭和30~40年代の、な。
 落後の貧乏話を喜ぶ心理といっしょだな。
 すっかすマア、浅草ちゅうとこは、つくづくアナクロだべ。
 うれしくってゾクゾクして来るだよ。
 まるでハア、タイム・マシーンにでも乗ったみてえだ。
 おめも、これが楽しめるようになったら一人前だぞ。
 こゆのーを「よい御趣味」ちゅうだ。
 なに? ほんとに浅草の人たちはわかってやってるのが、だって?
 わがってやってるに決まってるでねえが、バガッ!
 ここは東京だぞ! おらたちの田舎とはわけが違うだぞ。
 これが都会のセンレンされたセンスちゅうもんだべが。

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40夜ブック・レビュー『天の川の太陽〈上〉』(中公文庫) 黒岩 重吾著

天の川の太陽〈上〉 (中公文庫)

   
批判的な目を保持しながら読んでほしい
                  

この時代を舞台にした小説はほとんどないので、貴重なものとは思うのだが、
あちこちに欠陥が目について、白けてしまうことがしばしばある。
現代もののミステリーで、あれほどに完成度の高い構成力・文章力・表現力を見せてくれた同じ作家とは、ちょっと信じがたい。
文章や視点の混乱もかなり目立ち、本当に本人がすべて書いたのか、疑念が湧く。

そもそも、天武の時代を舞台にしているのに、現代用語がいきなり出てくるのは反則で、
さらに登場人物だけでは説明が不足すると、作者がいきなり登場する。
また、書き手の視点が、時には神の視点で、また時には主人公の視点で、そして便宜的に作者の視点にと、くるくる変わる。
まるで、素人が初めて書いた小説のようだ。

そもそも大海人皇子=天武天皇を採り上げるのに、道教・陰陽道は大前提であり、
多くの事績はこれを抜きにしては解釈も批判も不可能である。
歴史観の問題は、人それぞれでもあるのでさておくとして、不勉強のそしりは逃れないだろう。

これを「決定版」としないよう、今後の読者には警告しておきたい。
補助教材を読みこなすことと並行して、批判的な目線も保持しながら読んでいただきたい。
作者がすでに他界していることは、もはや修正が不能ということで、
貴重な力作であるがゆえに、まことに惜しまれる。

天の川の太陽〈上〉 (中公文庫)

著者:黒岩 重吾

天の川の太陽〈上〉 (中公文庫)

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2008年5月 4日 (日)

11夜ショート・ショート 「私たちの望むものは」

私たちの望むものは

 ある日、新宿駅前のロータリーにいつも寝ている“予言者”というあだ名の浮浪者が、突然立ち上がって、おごそかに叫んだ。

「見よ、ビルが森に変わるぞ! 新宿は、いま、古代の姿に還ろうとしているのだ」

 目撃した人によれば、その姿はさながら映画でよく見るイエス・キリストを彷彿させるかのように神々しかったという。まあ、傍へ寄ると、いささか垢まみれで臭かったが

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2008年5月 3日 (土)

39夜ブック・レビュー 『古事記』(学研M文庫) 梅原 猛著

古事記 (学研M文庫)  梅原 猛著

劇的に、しかし格調高く。

様々な現代語訳を読んできましたが、ここが到達点かもしれないと思えます。
国語学系のものは原典の用語用法に忠実であるあまり(語注にこだわりすぎ)、理解を助けるに不親切で、結局は別の解釈本が必要となります。
国文学系のものは、物語性や文学性(和歌など)に重点を置くために、状況のディテールなどに緻密さが欠け、あらためて原典にあたらなければなりません。
歴史学系は、訳者の思想性が強すぎて、意訳に近くなっています(とくに左翼系)。
文学系は(小説家や詩人)、まあほとんど創作ですね。
──ということで、本書はこれまでの欠陥を補っているとともに、解釈の集大成ともなっています。他の訳書に寄り道せずに(時間の無駄ですから)、最初から本書を手に取ることをお薦めします。 

古事記 (学研M文庫)

著者:梅原 猛

古事記 (学研M文庫)

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2008年5月 2日 (金)

10夜ショート・ショート「マヨネーズ・サラダを、どうぞ!」

マヨネーズ・サラダを、どうぞ!

「あなたァ、助けてえッ!」
 妻の叫び声がキッチンから上がった。
「助けてえッ!」
「どうしたッ!」
 夫は叫ぶのと同時に読み掛けの雑誌をほうり出し、椅子を蹴って走り出し、すぐに妻のいるキッチンへ飛び込んだのだが、その瞬間足元がツルリと滑ってよろめいた。
「なんだ、これは! どうしたんだ!」
 床にマヨネーズ・ドレッシングが大量に流れている。
「マヨネーズに泡立て器をとられちゃったの!」
 妻が叫んだ。
「はあ?」
「泡立て器が勝手にホイップしているのよ。マヨネーズがどんどん増えているわ。見て見て、ボールからどんどん溢れてテーブルも床も覆って居間にまで広がって」
 なるほど、テーブルの上のステンレスのボールにはマヨネーズまみれの泡立て器が突っ立っているが、誰も手を添えていないのに勝手にホイップしているようだ。
「チャッチャッチャッチャッ

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