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2008年5月16日 (金)

 『神と自然の景観論 信仰環境を読む』

柳田国男・宮本常一につづく民俗学者に注目

 日本人の信仰の原型は古神道にあって、それが自然信仰であることは自明のことだが、それではその“自然”なるものの何に対して日本人は聖性や神性を感じたのかといえば、それを徹底して研究したものはこれまでなかった。
 それを民俗学的にアプローチする試み自体はとくに珍しいものではない。しかし丹念に自ら歩いて体感し、緻密なフィールドワークとして探求したのは(しつづけているのは)野本寛一に尽きるだろう。
 本書のスタンスは、神と自然と日本人との間に何も挟まないことである。もし何かがあれば、それを跳び越えてダイレクトにシンプルにその関係性に迫る。すなわち、神社の社殿建築等々に一切目をくれないということである。社殿や神像を拝むのではなく、日本人は山や樹木や岩や島などといったまさに「自然」を拝んできた。
 ただ、どこにでもある自然ではなく、そこには“条件”が整っていなければならない。それが、特別な“環境”“景観”なのである。
 それが何故特別なのか知るためには、そこに行って、いにしえの日本人と同様に体感しなければならない。いわば本書はその「体験レポート」なのである。「信仰環境を読む」という副題は、まさに“足”で読んだものであって、この視点に限定したフィールドワークとしては比肩し得るものはないだろう。レビストロースの方法論でもなく、折口信夫の方法論でもない、野本独自の方法論が本書からは見えてくる。
 100点以上に上る豊富な写真も貴重である。

神と自然の景観論 信仰環境を読む (講談社学術文庫)

著者:野本 寛一

神と自然の景観論 信仰環境を読む (講談社学術文庫)

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コメント

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明日もあなたにとって幸せな日でありますように

投稿: さくらPaPa ≡ Slow life | 2007年12月13日 (木) 14時13分

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